♥さて、このたび、乳幼児の低糖食・ケトン食について、勉強する機会がありました。これまで、低糖研究会を利用される方は、「糖尿病」や「がん」の治療、「ダイエット」を目的とされる成人の方ばかりでした。しかし、この成人メニューを改良・工夫すれば、じゅうぶん小さなお子様にも喜んで食べてもらえるのではないかなと思います。

★ケトン食療法とは

 ケトン食療法とは、食事の内容を工夫することにより、ケトン体を糖分の代わりに脳のエネルギー源として活用できる状態に人為的にすることで、治療に応用することを指します。様々な領域でケトン食療法は活用されていますが、てんかんに関してはてんかん発作が減少する効果が期待できることが分かっています。 

 具体的には、脂質はケトン体を作りやすく、炭水化物(糖質)はケトン体を消す方向に働き、タンパク質はその中間です。したがって、脂肪が多く炭水化物(糖質)が少ない食事を摂取することにより、ケトン体を体内で生成させることができます。
厳密な計算式(Woodyatt計算式)では、
[0.9×脂質(g)+0.46×タンパク質(g)]:[炭水化物(糖質)(g)+0.1×脂質(g)+0.58×タンパク質(g)]
をケトン比(ケトン指数)といいますが、簡易的には
[脂質(g)]:[炭水化物(糖質)(g)+タンパク質(g)]
でおおよそのケトン比の見当をつけることもできます。この比率が一定になるように毎食計算します。一般的なケトン食ではケトン比が2:1から3:1となるように献立を調整します。
 ケトン食療法の効果は、発作のタイプに関わらず期待できるといわれています。ケトン食療法を実施した方のおよそ5割で、発作頻度が50%に減少することが期待されます。効果はゆっくりと出現する方もいるので、ケトン食を開始後少なくとも1か月間は様子を見て、効果があれば2年間は継続するのが一般的です。
 ケトン食療法には、低血糖、嘔気・嘔吐、便秘・下痢、体重減少、活動性低下などが副作用として生じる場合があります。予期しない副作用が生じる可能性や、ケトン食を実施すべきではない病気もあるため、医師の指導の下で行われるべき治療法です。原則として入院で導入し、副作用が生じないか十分な観察を行います
 ケトン体が体内で生成されているかどうかは、病院での血液検査の他に、家庭での尿検査で尿中ケトン体が2+から3+あること(ケトスティックというものを薬局で取り寄せてもらうか、ネットで購入する)で確認します」

「乳幼児に対応可能なケトン食メニューについて」

今回はそんなにきついケトン食は必要のない乳幼児について考えていきたいと思います。

●ケトン比が21くらいであれば、かなり普通食に近いものが食べられます。特にたんぱく質のものや野菜、フルーツを取り入れることができますから、大人のダイエット低糖食程度のものも食べることが可能です。

  基本材料として、低糖研究会の低糖パンと低糖ご飯を使うと、かなりの種類のものを作ることができる。もちろん、オリジナルでいろいろな低糖パンを作ることができる。

●低糖ご飯を使う→リゾット(味付けによって、おじやクッパにも)ただし、細かくしたこんにゃくは、1歳半あたりから使用可能。低糖研究会の低糖ご飯 1回分糖質12gで写真のリゾットなどボリュームのあるものを作ることができる。普通の白米ご飯は一膳糖質約60g

 

●低糖パンを使う→柔らかめのフレンチトーストなど(ケトンフォーミュラを牛乳の代わりに使うとケトン比をあげることができる。生クリームならもっとケトン比を上げられる) 低糖研究会の低糖パン 枚約 200kcal 糖質 5.5g→大人が1回に食べる半枚なら糖質2.75g普通の食パン半枚なら糖質10g

 

 

超微粒おからパウダーを使う(コストが低い)。→パンケーキ、ポテトサラダ風、コロッケ、たこ焼き、お好み焼きなど小麦粉での料理をほとんど作ることができる。トロミやつなぎにはサイリウム(オオバコの種皮)を使う。サイリウムは唐揚げなどにまぶして、小麦粉代わりに使用もできる。

 

  低糖質である生クリーム、卵、ラカント(甘味料)を使ったスイーツプリン、アイスクリーム、クリームチーズケーキなど

④低糖研究会のオリジナル豆乳スープ→スープのみでもおいしいが、低糖麺や低糖ご飯と組み合わせると、バリエーションが増える。

 

⑤ハンバーグなどのひき肉料理のつなぎを卵のみにすれば、かなり低糖にできる。

⑥とろけるチーズを活用する。とろけるチーズと生クリームをいっしょに温め、ラクレットやフォンデュにでき、行事食に最適である。

⑦乳幼児が食べやすい物の1つにヨーグルトがあるが、豆乳のヨーグルトは牛乳からのものより低糖質であるので、この中にMCTオイルや生クリーム、ラカント液体を入れると子どもの喜ぶ味になる上にケトン比がかなり上がる。

ラカントには顆粒と液体があり、基本、冷たいものには液体を使うが、泡立てた生クリームに液体のラカントを使うと生クリームが柔らかくなってしまうので、ラカントをフードプロセッサー入れ、粉砕して、顆粒を粉末にして保管しておくと便利。

⑧豆腐を利用する。そうめん風の豆腐は、ほんとうに麺を食べている食感で切れも良いので、離乳食後期にもよいのではないかと考える。ただ、添付のだしに糖分があるので、低糖だしつゆなどを使用する。これにMCTオイルをかけ、ケトン比を調節する。

 ●ケトンフォーミュラのおやつ

パンケーキクリームチーズ

ミルクレープ

 ●その他おやつ

生クリームと卵黄とラカントのアイスクリーム

クリスマスケーキは、クリームチーズケーキを作り、飾りはブルーベリー、ラズベリーなどのベリー類にする。アイス型に牛乳とラカントを混ぜたものを凍らすだけでアイスキャンディーもできる。

低糖orカロリーゼロの甘味料について

低糖研究会では、顆粒・液体ともラカントを推奨している。市販の低糖食品、ドリンク類に関しても、添加物として、アスパルテーム、アセスルファムKの入ったものは使用しない。甘味料を使う機会が多いので、安全性の高いも選ぶようにする。

炭水化物と糖質について

 炭水化物とは、糖質プラス食物繊維である。ケトン比の計算において、Cは炭水化物ということになるが、実際には海草やこんにゃく、ナッツ類など、食物繊維が大半を占める食品を炭水化物として計算する必要はないと、低糖研究会では判断している。糖質量のみをCとして計算する。繊維質(デキストリン)は糖質の吸収を邪魔するというデータもあり、そういった健康茶なども販売されているくらいである。ただ、そのやり方が個々の体質に合うかどうかはわからないので、ケトスティックや血糖値を測る器具で、各自データを取り、確認する必要がある。低糖研究会のデータでは、牛肉によってケトン体がたくさん生成されることがわかっている。

じょうずに市販の低糖食品を取り入れる(調味料、パン、スイーツなど) いろいろなサイトがあるが、驚くほどの高価格の上に、一般的に体によくないと言われている成分が入ったものも多い。そんな中、パン、スイーツに関しては、シャトレーゼなどがリーズナブルな価格で成分も安心である。

 

ケトンフォーミュラは、それ自体、ケトン比を3で考えなけらばならないが、オイルは10として計算できる上に、MCTオイルはケトン体を多く出すと言われている。うまく利用すると楽にケトン比を調整できる。(料理にかけるだけでケトン比を上げることが可能)。簡単に言えば、糖質を少し含んだ本来ならケトン食では禁忌な食事に対しても、MCTオイルで何とか調整が可能である。他にも香りの甘いココナッツオイルは、お菓子作りに最適である。また、粉末のMCTパウダー(ケトンフォーミュラよりもおいしい)もあり、ケトン比が3.81となり、ケトンフォーミュラより油分が多い。また、溶けやすいので、インスタントのわかめスープなどに入れるとポタージュ風になったり、ホットコーヒーの中に溶かすと、濃厚なカフェオーレも作れる。最近になり、なんと、糖質ゼロのMCTパウダーも発売されるようになり(Amazonで購入可能・仙台勝山館 MCTオイル パウダー 糖質ゼロ)ケトン計算では10とできるので、最強である。

MCTオイルをどこまで利用できるかは、個人によって違う。大量に摂取すると、下痢をしやすくなるので、少しずつ様子を見た方がよい。また、MCTオイルは熱する料理には使えないので、ドレッシングなど、そのままで料理に混ぜて使用する。揚げ物、炒め物にはココナッツオイルを使う。ココナッツオイルには、MCTオイルの60%の中鎖脂肪酸が含まれるので、こちらもケトン体を多く生成する力がある。ココナッツオイルには、スイーツやパン作りに適した甘い香りのものと、一般調理に適した無臭のものがある。

パスタ・日本そばなど、限りなく本物に近く、糖質が半分以下のものがAmazonなどで販売されている。

乳幼児に対応可能なケトン食メニュー(低糖食メニュー)と低糖質食材や調味料など

 子供さんでも喜んで食べられるケトン食の材料、その上、コストも安くて、誰でも調理ができるおなじみのものと言えば、卵とチーズ、生クリームではないでしょうか。そこに牛乳代わりにケトンフォーミュラを溶かしたものをプラスすれば、結構いろいろなものが作れるのではないかと思います。ラクレット(低糖質な肉類野菜類を加熱したものに、生クリームで溶かしたチーズを混ぜ、液体状のものをたっぷりかける)、オムレツ、ピザの上だけ(ピザは土台が高糖質。上の部分は低糖質。たとえば土台に大きな海苔を使う)、 スープ類、シチュー、カレー、パンケーキ、生クリームをたっぷり使ったデザート……。私たちが子どもの頃好きだったものを比較的簡単に作ることができます。低糖調味料をいかに使うかもレパートリーを増やすコツかなと思います。

トロミやつなぎには、サイリウム(オオバコという植物から作られます。上記に写真あり)という強い味方がいます。なんとこの粉とおからパウダーでゼロ糖質のお餅まで作れるんですから、低糖食、ケトン食バンザイです!

脂肪3:(糖質+たんぱく質)1のケトン比でしたら、「えっ? それケトン比が意外といけてるよね。そんなものまで食べられるんだ」という感じです。

★クックパッドなど、ネット上に低糖食のレシピが溢れているので、その料理にMCTオイルやパウダーを応用し、ケトン比をあげることが比較的簡単な方法です。また、現在ではどんな食品にも成分表が印刷されているので、ケトン比の計算がその場でできます。

ケトン食療法実践中のおやつ!!

MCTゼリーはヨーグルト味で、なかなかおいしいんです。おそらく、お子さんが好きな味です。

脂肪6.2に対して、糖質が0.1……すごいケトン比です!!

なぜか、長友さんの写真笑。長友さんもずっと低糖食生活をされているそうです。

 

マカダミアナッツもケトン比が脂肪7.6に対して糖質0.7。何も考えず、単独で食べられるおやつです。イチオシのおやつですよ。

 

最近ではローソンなどで、低糖おやつがリーズナブルなお値段で手に入ります。ローソンのブランパン(ロールパンが2つ入っている)も朝食に使ったり、おやつとして、卵と生クリームを染みこませてフレンチトーストにしたら、これまたおいしいです。

★お子さんに低糖おやつを作る時は、ラカント(甘味料)をたっぷりと使い、しっかりとした甘さを感じさせてあげることが大切です。

お子さんのケトン食おやつとして手軽に使えるものにクリームチーズがあります。味も濃厚でおいしいです。

 メーカーによって多少の違いはありますが、ケトン比は2:1

ですから、単体で使えます。

 同じ乳製品おやつの中に無糖ヨーグルトがありますが、これは単体だと糖質の比が大きすぎます。

 ですから、この中にMCTオイルを混ぜると、ある程度のケトン比調整ができます。そして、無糖ですから、下記でご紹介しているラカント液体をたっぷり入れて、甘〜くして食べさせてあげてください。


 子供はみんなアイスクリームが大好き!!

いえ、大人も大好きです

 ケトン比の高いアイスクリームを手作りするのは意外と簡単です。生クリームをしっかりと電動泡立て器で泡立て、液体ラカントと卵黄を加えて冷凍庫に入れればいいのですが、それでも面倒な時はこれ!

 おいしいです!

1個全部食べると、いくら低糖質と言えども、取り過ぎになりますので、ここは半分で我慢!

 単体だとケトン食には向きませんが、ここに上記写真の中にある甘い香りのココナッツオイルをかけます。

 すると、どうでしょう。ココナッツオイルが固まり、これがまたカリカリっとしておいしいんです!

 このアイスクリーム、私はローソンかイオンで購入しています。


安全な甘味料もご紹介します。いろいろなものがありますが、安心なものは食品から作ったラカントではないかと思います。ラカンカという果実からできているそうです。

 この甘味料にもじょうずな使い方があります。当初、私は生クリームを甘くするために、よく溶ける液体のラカントを使っていましたが、水分があるので、生クリームの立ち方がゆるくなってしまうのです。

 そこで考えたのが、温かい料理に使う顆粒のラカントをフードプロセッサーで微粒粉にすることです。まとめて作ってジッパー袋に入れ、冷凍しておけば、いつでも使えます。下記の写真を参照して下さい。

液体のラカントです。 

これは、冷たい飲み物などに使います。私はぽん酢も手作りしますので、その時にも、液体のラカントは重宝しています。

 皆さん、知らず知らずの内に、糖質を結構摂ってしまっています。酢にさえ糖質はあるのです。

 焼肉のタレも自家製にすると、ずいぶん糖質を抑えられます。

生クリームには、この粉砕したラカントがピッタリです!

ティラミス作りにもこれです。


パンとスイーツのご紹介

低糖パンレシピ2 最新版(1斤焼きは半分にしてください)

富澤商店ふすまパンミックスの粉400g

 パン用スプーン小さじ1.5

ココナッツオイル (甘い香りがするタイプ)大さじ6

牛乳450cc460cc(ラカント大さじ3と混ぜてこの量)

2個(器に割り入れ、殻や腐敗がないか確認しておく)

赤サフドライイーストパンスプーン大さじ1(夏場だけ少なめにし、パン用計量スプーン上から1つ目の線まで)

アーモンドパウダー大さじ6

ラカント大さじ3(牛乳に混ぜてしまう)

作り方

赤サフドライイーストをケースの底に入れるふすまパンミックス粉を入れる。塩を入れる。ココナッツオイル、卵を入れる。ラカントが入った牛乳を入れる。アーモンドパウダーを専用容器に入れる。

ベーカリーにケースをセットする

上蓋を開け、アーモンドパウダーが入った容器をセットする。

メニューを矢印で決定。この場合(パナソニックホームベーカリー)は11番。

スイッチを入れる。

焼きあがったら最低2時間半以上冷まし、専用のパン切りで薄めに切る。

★このパンは薄めに切って、カリカリに焼くとすごくおいしいのです

 フレンチトーストの時は、厚めに切って下さい。

 こういったスイーツに添えたり、またはおやつにする時のフルーツは、とりあえず「ベリー」とつくフルーツを選べば低糖質であることは間違いないです。ストロベリー、ブルーベリー、ラズベリー……。もちろん生の方がおいしいでしょうが、冷凍物だと、一年中使えますし、買い置きができます。

 

  糖質・カロリーともにほとんどゼロに近い緑茶わらび餅を最近よく作ります。

 材料はサイリウム、甘味料のラカント、ペットボトルの緑茶ときな粉だけです。

 サイリウムとラカント(ラカントは液体もあります。下記に写真があり)と緑茶を混ぜて火にかけ、粘りが出るまでひたすら泡立て器で混ぜ、後は容器に入れて冷やすだけ!

 きな粉とラカントを細かく粉砕したものを混ぜ、たっぷりと絡ませます。

 ああ、夏〜♥って感じますが、一年中おいしいです。

サイリウムとは、高齢者が誤嚥しないように水分にとろみをつけるためなどに使用されていますが、これが低糖食料理には大活躍します。小麦粉や片栗粉の代用品になります。